長い年月を費やして、男がようやく手に入れたのは「完璧な空虚」だった。
周囲を見渡せば、華やかな成功を収めた同世代や、効率という名の羽で軽やかに飛ぶ若者たち。その輝きが目に入るたび、男の胸の奥では、古びた換気扇が回るような重苦しい音が響く。自分には特別な回路も、輝くような拡張機能も実装されていない。
「私の製造工程に、一体どんなミスがあったというのだ」
将来という名の不透明なプラスチックの壁が、音もなく迫ってくる。才能のなさを証明するデータだけが、膨大なログとなって積み上がっていた。
しかし、ふと思う。この「何もない」という絶望を六十年も維持し続けられたのは、ある意味で驚異的な耐久力ではないか。この屈折したエネルギーを一点に集中させれば、既存の価値観をすべて腐食させる強力な溶剤になるかもしれない、と。


コメント